2018年07月11日
仏コンサルティングファームのCapgeminiが毎年発行しているWealth Reportの2018年版が6月にリリースされました。それによると世界の富裕層人口もその資産総額も、6年連続で増え続けています。
このレポートの中で、昨年に続いて富裕層の顕著な傾向として記載されていることが一つあります。それは富裕層が資産アドバイスにおいてサービスのハイブリッド化を望んでいること。そして、そのニーズにアドバイザー側は応えきれていないということ。
ハイブリッドと言うとどうもハイブリッドカー、つまりエンジン(ガソリン)とモーター(電気)を想像してしまうのですが、ここでいうハイブリッドとは、リアルとデジタルの意味(ハイブリッド・アドバイスという言葉として出てきます)。だから電話やメール、対面など人を介したアドバイスと、人を介さずデジタルのみで完結するアドバイスを、組み合わせで提供してほしいということになります。
年度のはじめに富裕層がお抱えの資産アドバイザーとミーティングをする。今年の方針をどうするか、資産運用計画の大枠を対面で決める。たとえばそういう部分はリアルでいい。
しかしセルフサービスでできるところは、どんどんデジタル化してほしい。ルーティーン化していてデジタルに移行できることは今は多いし、ロボアドバイザーも進化してきている。だから、リアルとデジタルの組み合わせの最適化をこそアドバイスしてほしい。そういうニーズがあるということです。
つまり1to1の対面こそが王道とされてきた富裕層サービスの、もっともデリケートな分野である資産運用の世界において、デジタル強化の要求が出てきており、今後この傾向が進むということ。この傾向は40代以下の若い富裕層において顕著であり、今後デジタル・ネイティブ世代が増えるにしたがって、ハイブリッド化の要求が増すことが予想されます。
デジタル化の波がラグジュアリーの世界にTECHという分野をどんどん組み込んでいく流れについては、以前にもお話しました。このことをショッピングの例でみてみましょう。ランドスケイプがインタビューしたある事業家の方は、洋服を買うとき店舗で見てチェックして、LINEで秘書の方に写メを流し、それを受けて、彼(秘書さん)がネットで一番安いところから買うというプロセスを経るといいます。
つまり、ファッションアイテムを買うときも、店舗で買うのか、ネットで買うのか。店舗で見てからネットで買うのか。ネット(スマホ)でチェックしながら、店舗をはしごして買うのか。「情報強者」である富裕層はリアルとデジタルのハイブリッドを軽々と使い分けながら、もっとも心地よいポイントで購入を決めています。
このようなハイブリッド志向が、資産運用サービスにおいても進んでいるということだと思います。今後はすべての分野でユーザーである富裕層のデジタルとアナログの交差するスイートスポットを探していくことが重要になると思われます。
cover photo: Ville Miettinen "Office: want Otso's job?" ※写真はイメージです。
参考サイト:Capgemini World Wealth Report 2018
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