
09年01月13日
三つの競争
CEOブログ
競争には三種類ある。
●一つは攻撃型の競争。 敵を直接的に暴力などで傷害・殺害ないし破壊する。
戦争、戦闘、喧嘩、ボクシング、球技。 マイクロソフトがネットスケープを破壊した戦略。
●二つ目は直接に敵を攻撃するのでなく、敵の利益になるものを回収して、敵が弱まり、餓死し、テリトリーから逃げ出すのを待つ方法。
餌、エネルギー源、資源などを取り上げて敵の浸入を防ぐ。
たとえば東京ディズニーランドにカラスはいないが、特殊な電波を照射してる訳もなく、単にこまめに清掃してカラスの餌を回収して施設外に誘導している。
陸上競技もこの一種かも。 グーグル、アマゾン、アップルの戦略もこれに近い。
●三つ目は恋愛とか商売における好かれる競争がある。
まさか恋敵を殺してしまうとか、競合店を深夜に爆破するなら別だが(これは一つ目の競争)、恋愛対象とか見込み客から自分がより気に入ってもらう競争だ。
アイススケート、新体操とか文化、芸術もこの一種。 リナックス、ウィキペディアなど。
しかし一番目の競争で、戦闘でも必ずしも殺せばいいものでなく、銃器ではストッピング・パワーというのが重視される。 敵兵の戦闘力を失わせればいいので殺す必要はない。 殺傷力の高いダムダム弾が国際法で禁止されているのも同じ。
人質事件での特殊部隊などではライフルよりも短機関銃のほうが接近戦では十分だし、拳銃弾のほうが誤っての死傷率も低い。
デモ隊制圧などでは天安門事件のように戦車を突撃させるのは愚の策で、国際非難も国民の反発も増えるだけで過剰品質そのもの。三つ目の競争をすべきで自国民のデモ隊は敵ではない。 放水、催涙弾、ゴム弾グレナードで十分なはず。
あくまでビジネスで考えると三番目の競争が中心だ。
シルクロードの隊商とか和寇のように、あるときは商人だが都合によっては略奪というのはビジネスではない。
二つ目の競争も現実には、孤島か密林の奥ならともかく、密室のような市場もないし、 ボーダレス経済では難しい。 なつかしい響きの「事実上の標準」戦略はそうだったが、あくまで一握りの独占企業だけの戦略なので除外する。
三番目の「好かれる競争」は難しい。 民主党の大統領予備選でのオバマとヒラリーの戦いと同じ。 憎悪をむき出しにして相手を攻撃するほどに不利になるのだから。 社内での出世競争も同じで、あからさまにライバルの悪口は言えない。
クラウゼビッツの「戦争論」での「戦争は政治の延長」というのも、三番目の外交という競争での選択肢としての戦争という意味。
余談だが、この「戦争論」ほど「読んでないのに引用される本」の筆頭だろう。
一部のビジネス書にはこの競争の種類を明確に把握してないために、一番目の競争での戦略とか作戦を、そのままビジネスに応用しようとして意味なく撃沈している。
ランチェスター理論なんて典型で、あれはあくまで戦闘それも戦闘機同士のような分かりやすい状況では成り立つが、それを商売のシェアにはまったく使えない。
小売業コンサルタントが田舎町の商店主をだますのに有効なだけ。
そういう意味で、商売と恋愛と芸能人と人事採用は似ている。 でも戦争はまったく似てない。
好かれる戦略、とても難しい。


