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09年01月19日

ロバート・ケネディ「13日間」中公文庫

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 古い本で、古い映画だが、これはCEOの物語だ。

 久しぶりにDVDを見て、面白かったので関連する本を読んだ。 これは政治か経営での決断力の物語。 前に書いた三つの競争がそれぞれ展開されている。

 1962年にアメリカの「柔らかな腹部」キューバに核ミサイルの基地が運ばれる。 今の北朝鮮の核疑惑とは危機度が違う。 ホワイトハウスで国防省や国務省の高官でプロジェクトチームを作る。 

 好戦的な軍部はケネディ大統領から見て背後の敵。 フルシチョフも核戦争で地球の滅亡は望んでないだろうが、その背後にも強硬派がいる。 ソ連大使はどこまで知らされて、何を嘘をいい、本心が何かが読めない。 「先制攻撃による核基地の破壊」を主張する米軍部。

 1.悩んだ末の妥協策が海上封鎖。ソ連輸送船を臨検するか引き返させるか。 半分は引き返すがまだ進行中の貨物船がいる。 核ミサイルなら危機だし、ベビーフードを攻撃したら威信は失墜する。

 2.フルシュチョフ第一書記から個人的で感傷的な融和的な手紙が届く。 ところが二日後に明らかに官僚の手が入った強硬な手紙が届く。 ケネディ大統領は第二の手紙を無視して返事する。

 3.残り一日、ケネディ大統領は弟ロバート司法長官にひそかにソ連大使に会わせ「キューバから核ミサイルを撤去すれば、アメリカはキューバの安全を保障する。 さらに数ヵ月後に老朽化したトルコにあるアメリカ軍の核ミサイルを廃棄する。ただしこの事実が外部に漏れたらなかったことにする」

 どれも妥協で、相手の立場を考慮して追い詰めすぎない、逃げ道を残しておく、相手に主導権があるかのように振舞う・・という点で見事な決断力だった。

 早すぎない決断、時間をかせぐ、行動するときは瞬時に動く、派手でないし120%の勝利も求めない、60:40で相手の恨みを残さない。 いい結果だった。

 

 ここで余談だが興味深いのが三人体制。
J FK(ジョン・F・ケネディ大統領)とロバート・ケネディ(JFKの弟、司法長官)それにケニー首席補佐官というアイルランド系の三人。
 ソビエト連邦との核戦争の危機にあって、この三人が政府の中でインナーキャビネットを構成する。 

1980年代の北朝鮮で、金日成主席(父)、金正日 労働党 組織指導部長(長男)それに呉振宇 人民武力部長の三人が朝鮮労働党常任政治局を構成していた。
 1990年代に父と番頭が死に、金正日だけが残ったので今の独裁体制になった。

 似ているのが、三洋電機の二代目会長とトモヨちゃんCEOと三代目バカ息子、ヤマト運輸の中興の祖二代目と現会長と三代目バカ息子、ダイエーの中内功会長と雇われ社長二人とバカ息子、トヨタ自動車とか創価学会がどうなるか知らないが、似た事例は戦国時代にも中世にもあったと思う。 肉親二人と番頭体制は安定するのかも。

 話が逸れたが重要なことは「決断の瞬間」だ。 この映画で緊迫の瞬間に最高責任者の決断が試されるのだ。

 よくよく考えて、映画には「敵役」ですらない役割にしたてられているが、このキューバ危機での影の英雄はフルシュチョフ首相だった。 フルシュチョフはソ連(=ソビエト社会主義共和国連邦)の首相というか、共産主義国なので共産党第一書記の職責が重要。
前任のスターリン書記長の独裁が酷すぎて(独ソ戦を含めてだが国民の2000万人が死亡) そのため書記長(ゲネラーリヌイ・セクレターリ=General Secretary)という言葉が重苦しいので第一書記と自称。
ちょうどユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)が共和国ローマで王制はまずいと思って「市民の第一人者」などと市民には自称していたのを思わせる。対外的にはインペラトール(ラテン語で「命令する人」=Emperer)

 よく決断力と言って、意思決定者の判断速度を有無されることがある。
それはぜんぜん違うだろう!と思う。

 私もかってサラリーマンだったので、自分の仕事を円滑にするためには、上司の決裁(=判断)が早くて、それが変更されない事が望ましい。
 これを読んでいる人の多くもたぶん同感だと思う。  楽だよね。。
違うのだ! そんな組織にいては君はいつか失業するだろう。

決断力=速度×正確性 ・・だ。

 そういう正確性も、速度も、全ては情報から来るもの。  情報というのは、 誰も昨日の新聞を読まないように、 ニュースと言う言葉通りに刻一刻と変化する。
そして 入力 が変われば 出力 も変わらないといけない。


<速度>

言い訳じみてるだろうか。 そうじゃない。 すごく決断力に速度は重要だ。
しかしその速度は、状況の変化による「決断の変更」を担保にしないといけない。 つまり朝令暮改だ。
決断の速度は重要でタイミングを逃せば大事にもいたる。 それだけに迅速な報告が必要だ。 しかし一番大事なことは決断の正確性なのだ。

この映画の中でケネディ大統領は何度も決断を迫られ苦悩する。
確かに最も緊迫した海上封鎖の場面では、会議中に腹心の弟と側近まで目を伏せられて、一人で決断すべき瞬間もある。 でもこれは最高権力者の義務だ。
トップに孤独はしかたがない。

私がこの映画を評価するのは、本格派推理小説と似た理由かも知れない。 数十年前の歴史的な事実だし、新しいネタもない。
演出も公正で、結末も誰もが知っている。 というか、もし主人公たちの決断を間違っていたら、私も君も存在していないかも知れないのだから。
その上でどうい過程だったかを描写するような、いわば倒叙形式のような進行を楽しめる。


<正確性>

決断力において速度よりも、もっと重要な要素。

でも、私はそれについて述べる資格も才能もない。

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