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10年01月24日

「マジック・キングダムで落ちぶれて」

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クリス・アンダーソン 「フリー」 NHK出版    の後半の章で、生産が無料になった世界を描いたSFをいくつかあげていた。 この本は読みやすく面白い。出版社がNHKというのが悪い冗談でしかないが、ここでは関係ない。

 その章では「マジック・キングダムで落ちぶれて」が取り上げられていていた。 これはSF好きで、かつディズニー好きでないとあまり面白くないかも。 出てくるSF(でもない)用語が特殊な割に何の説明もないので、途中まで意味不明の部分もある。さらにディズニー用語も。 すこしだけ以下の( )で少し補足した。

 その前の文節で取り上げられていたのが、

アーサー・C・クラーク 「都市と星」 ハヤカワ文庫 (新訳)

 去年出た新訳版は読んでないが、私が中学生の頃に読んだ名作。
 何十億年も未来、地球には砂漠の中に自給自足の大都市がひとつだけある。 何億年も変わらない繰り返しの都市の中にユニークと呼ばれる数千年に一人だけ確率的に計画出産された少年が主人公。これは前作の「銀河帝国の崩壊」をクラークが書き直したもの。
 ここでは本来の物語とは関係ないが、この都市の住人は千年は死なず、ただ芸術や立体ヴァーチャルゲームで暮らしている。


コリイ・ドクトロウ 「マジック・キングダムで落ちぶれて」 ハヤカワ文庫 (絶版)

 22世紀、人類はエネルギーや資源問題を解決して、贅沢とか特権を言わなければ衣食住には困らない時代(ビィッチャン)だ。
 脳にブルーツゥースのような器具を埋めて(オンライン)、通信も情報の取り出しも頭の中だけでできる。 記憶は定期的に記録(バックアップ)を取っていて、自分のクローンに移植して再生もできる。希望するなら長期に不在(デッドヘッド)もできるし、何歳の肉体も選べるし、死ぬこともない。
 もはや生活のために働く必要がないし、貨幣もないのだが、他人からの評判がポイント化(ウッフィー)されている。ちょうどヤフオクの評価、はてな、マイミク数のようなもので、いつでも脳内通信で交換され、会っただけで評価の高い低いが参照できる。
 すごい企画とか貢献とか人の嫌がる掃除などをすると評価は上がり、暴言を吐いたり人に頼みごとをすると評価の累計が下がる。

 主人公とは1世紀(!)は年下ほど若い23歳の女性が恋人で、二人はフロリダのディズニーワールドのホーンテッド・マンションの管理人。 すでに資本はウォルト・ディズニー社にはなく、アトラクション毎に自主的なグループ(アドホック)が企画と運営をしている。
 彼らのライバルが大統領ホールというアトラクションを運営企画するボランティア集団で、その女リーダーがもと北京ディズニーランドの出身。

 たまたま最近私が読んだ本で、向井万起男 「謎の1セント硬貨」 講談社の第一章で著者夫妻がこのフロリダ州のディズニーワルド内のマジックキングダムでの大統領ホールに触れいている。
・・・合衆国の歴史が上映され幕が開くと歴代大統領の人形が並んでいて挨拶する。最後にリンカーン大統領が演説する。アメリカ人が涙まで流して感激するという・・・

 ライバルは、この大統領ホールのアトラクションを、主人公を殺すドサクサにまぎれて、ディズニーランドの歴史を無視した大改装をする。  でもまあ殺されても最後のバックアップの記憶まで持って復活できるのだが・・  バックアップ最後から殺される瞬間までの記憶は、恋人や友人や防犯カメラなどで補っているのでたいした問題はない。 しかし確かに、殺されて復活するのは面倒だし、友人や恋人や医者へ評価ポイントを贈らないといけないので、主人公は激怒して復讐を誓う。 ・・・・ 

 しかし、これだけの経済的にも情報でも不死というイノベーションしながらも、テーマパークの企画ぐらいしか、もはや人類はすることがないのだろうか・・・ 議論したり、宇宙飛行したり、交響曲を書いたり、ジェット機のアテンダントをしてみたり・・・    

 カネのために働かなくていい生活はマズローの欲求5段階説にある認知の欲求とか自己実現に近いものが現れるようだ。

 

 

   (略)

    

 

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