BLOG BLOG 卸売り業の「3つ」の経営課題と対策とは?

2016年08月01日

1. 卸売り業とは?

まず、卸売り業とはどのような業界なのか?についてみてみましょう。

卸売業 ここで参考にするのは、総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)」の資料です。
この資料によると、卸売業の主な業務とその内容は以下のとおり定義されています。

日本標準産業分類
(出典元:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)」)

2.卸売り業界。再編が進む。2015年市場規模 88兆1,642億円

卸売り業界は専門商社総合商社の2つの区分にわかれます。
専門商社業界においては、2011年に菱食、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワークの食品4社が経営統合し、三菱食品が発足しました。
また、総合商社業界においては、2013年、伊藤忠商事が米国食品大手ドール・フード・カンパニーから世界展開している缶詰・果汁飲料事業とアジア青果物事業を買収しました。
世界的に知名度の高い『ドール』ブランドを武器に食品事業の強化を進めています。

このように卸売り業界では、さらなる経営効率化のために業界再編が進んでいます。
そして、各社が再編を繰り返しながら競争力を高めて市場を牽引しています。そのような影響もあって、卸売り業界は堅調に拡大し、2015年の市場規模は88兆1,642億円となっています。

しかしながら、一方で総務省が発表している年間売上高は減少傾向であり、厳しい経営環境であることがわかります。
卸売業

(出典:2016年7月12日 総務省統計局 個人企業経済調査(構造編)より)

3.卸売り業界が直面する3つの経営課題とは?

2014年10月31日「日本公庫レポート」では、卸売り業界が直面する3つの経営課題を記述しています。
その内容は以下のとおりです。
1)さらなる「中抜き」の進展。
2)人口減少を背景とした消費需要の減退。
3)グローバル化にともなう海外事業への対応。

1) Amazonを筆頭したEC市場の拡大です。消費者のネット購買の流れは今後もますます拡大すると推察できます。
2) 日本の人口ピラミッドに起因するものです。
   したがって、国内環境は持続的に購買力/流通量が減少していく傾向であると認識することが重要です。
3) 2)の国内の消費構造の問題点を鑑みて、海外へ経営資源を割り当てるというチェンジ・マネジメントが新しい
   経営課題となっています。

さて、卸売り業を展開する事業会社は、この3つの経営課題をどのように捉えて取り組んでいくのが望ましいのでしょうか?

4.卸売り業の売上高拡大。新しい卸し先を開拓するには?

①卸売り業は、国内マーケットへ「打ち手」を講じること。
卸売り業界が3.で記述した3つの経営課題に対してどのように取り組んでいくのがよろしいのでしょうか?もっといえば、どのような取り組みが現実的なのでしょうか?
3)の海外事業対応については、経済的にも体制的にも負担が大きいことが明白です。
そのため、現実的に取り組みづらい領域として判断できるのではないでしょうか?
したがって、打ち手は海外ではなく国内マーケットに対して講じることが必要です。 国内マーケット ②卸売り業の「打ち手」は、新しい流通網をつくること。
国内マーケットに対していったい何を行うのが適当なのでしょうか?
卸売り業の売上高をシンプルな計算式に分解してみると方向性の「ヒント」が見えてきます。

【卸売り業の売上高の計算式】

卸売り業の売上高=A:卸し先1社あたりの年間流通量(売上高) × B:既存の取引会社数

卸売り業で事業を拡大するためには、
A:1社あたりの流通量を増やすか?
B:新しい卸し先/取引社数を増やすか?です。

A:の取り組みについて考えてみましょう。国内の消費人口は減少しています。その結果、1社あたりの流通量も恒常的に減少していく可能性が高いです。
したがって、国内マーケットにおいて卸売り業として売上高を維持または拡大していくためには、
A:の取り組みを行うことよりも、B:新規の卸し先/取引社数を増やすことの方が合理的であると判断することができます。

③卸売り業。新しい流通網の「作り方」とは?
マーケティング用語で「Look alike」という言葉があります。
この言葉の意味は、文字通り「...のように見える」です。実は、このLook alikeというキーワードが新しい流通網をつくるときの「鍵」となります。
さて、ここで一つお願いがあります。既存の卸し先/流通網について思い出してみてください。
思い出せましたでしょうか?きっとお得意様ですから、会社名を何社も思い出すことが出来たのではないでしょうか?

それでは、次に質問です。そのお得意様の規模/年商について説明をお願いできますか?
さらに、質問です。そのお得意様先で働いている社員の方の人数について説明をお願いできますか?
既存の卸し先/流通網について、会社名は思い出すことができたが、特徴については説明できないことも多かったのではないでしょうか?
卸売り業を展開する事業会社が新しい流通網を作る方法、それは非常に「シンプル」です。
なぜならば、既存の卸し先/お得意先とLook alikeの企業、すなわち特徴が似ている企業を見つけてあげればよいからです。
そのための第一ステップとなる作業が「既存の卸し先/お得意先を分析」することです。

当社/ランドスケイプは、データベースマーケティング事業を展開しています。
卸売り業を営む事業会社の新しい流通網を見つけるという経営課題の支援も行っています。
ぜひ、お気軽にご相談ください。


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