BLOG BLOG 新規事業成長の秘密。最強の営業力+仕組み。本「リクルートのすごい構創力」から

2017年11月21日

日々その名を聞かない日は無い企業「リクルート」。
そのリクルートのイノベーションを生み出し新規事業を創出・維持・成長させる手法は
見事に体系化され、根付いています。

本書では、"リクルートだから出来るんだろう!"という誤解の払拭から始まり、
一般の企業に落とし込み使いこなす為の解説が丁寧に書かれています。

著者は、ボストン コンサルティング グループ日本代表の杉田浩章氏。
経営コンサルタントとして関わってきたリクルート社の新規事業創造の手法「構"創"力」の秘密を解き明かしてくれます。

リクルートのすごい構創力_本表紙.png

1.リクルートのビジネスモデル「リボンモデル」とは?

リクルートの最大の強み「リボンモデル」とは、自社だけでなく産業構造全体を俯瞰したビジネスを設計する手法です。

リボンモデル_p37参照.png
(本書p37を元に作成)

リボンモデルは、蝶ネクタイのような形で、左側に「カスタマー(個人や一般消費者)」、右側に「クライアント(企業や事業者)」、両社の行動変化を促す中央の結び目がリクルートという図式です。左右両端のリボンの幅を広げることで、中央の結び目も最大化させ、ビジネスとして成功させよう、業界全体、社会全体に貢献していこうという仕掛けなのです。

 そして、ここで大切なのは、このモデルは、サービスが多岐に渡るリクルート(採用・求人、住宅、結婚、旅行、飲食、美容など)に限ったモデルではないという事。世の中のすべての事業は、このモデルに当てはめて、ビジネスを設計することができるのです。

 その出発点が、「不」の発見・・・リクルートにおける「不」とは、「不便」「不満」「不安」など、あらゆるネガティブな概念の象徴。消費者の「不」、産業構造全体が抱える「不」、社会が抱える「不」にフォーカスし、この「不」をなくすために、新しいイノベーションを生み出しているのが、リクルートという会社なのです。



2.新規事業を成功に導く「3つのステージ」と「9つのメソッド」とは?

リクルートでは、「リボンモデル」を元に新規事業を進めるにあたって「3つのステージ」と「9つのメソッド」があります。

【ステージ1】「0→1」-「不」を発見し、事業性を見極める
メソッド① 不の発見
メソッド② テストマーケティング
メソッド③ New RING(インキュベーション)

【ステージ2】「1→10」(その1)-「勝ち筋」を見つける
メソッド④ マネタイズ設計(ポイント3つあり)
メソッド⑤「フィジビリ」で「価値KPI」を探し出す
メソッド⑥「ぐるぐる図」を回す

【ステージ3】「1→10」(その2)-爆発的な拡大再生産
メソッド⑦「価値マネ」をしつこくやりきる
メソッド⑧「型化」を突き詰める
メソッド⑨ 小さなS時を生み出し続ける

項目だけ見ても意味不明な反面、印象的な独特のリクルート用語が散見される事で、興味津々になるかと思いますが、詳細は是非、本書でご確認いただければと思います。このあたりの用語使いも社内定着を図る上手い工夫かと思います。

全編を通して、リクルートの各メソッドとステージが厳格な条件や基準で設定され、徹底されている事、一方でKPIの柔軟な見直しや人を育てるマネジメントが行われている事が判り、大いに参考になることでしょう。



3.リクルートの志から学べる事

本書冒頭から一貫して書かれているのはリクルート社のこの手法や工夫は、どの企業でも実践可能な真似できる内容であるという事です。

それは「本当のリクルートの強さの理由を解き明かすことは、多くの悩みを抱えるほかの企業にとっても、大きな学びになり、社会的な意義も深いはずだ」「決してほかの企業で真似できないものではない」「一般の企業が活かすための処方箋」等の表現にも現れています。

ただし、これを成し得るには、以下のような愚直さ、しつこさを伴う実行力が必要であることが不可欠とあります。

「緻密に練り上げられた手法によって、総合的かつスピード感を持って事業を育てている」「新入社員から経営トップに至るまで、一人ひとりが、驚くほどのしつこさと青臭さをもって、世の中をより良く変えようという志を持っているのだ」

改めて、自身、自社を省みてしまう深い記載に思えます。本書から学べる事、真似したいと思える事は多い筈です。

社内で新規事業を成功させたい経営者からトップ営業マン、マーケティング担当者、全ての挑戦者にご一読いただきたいお勧め本です。



(日本経済新聞出版社リンク http://www.nikkeibook.com/book_detail/32147/ )