2017年12月12日
2017年11月29日、経済産業省から、割賦販売法改正に関して、委任事項や施行期日等を定める「割賦販売法施行令の一部を改正する政令」及び「割賦販売法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が公表されました。
それに伴って2017年11月30日、「割賦販売法改正;クレジットカード事業取り扱い会社の1)義務範囲2)内部管理体制構築方法とは?」と題し、セミナーを実施しました。法律の施行日は2018年6月1日からとなりますが、割賦販売法改正の主なポイントとカード会社における業務運営上で留意すべき内容について、改めて検証するものです。 本記事はセミナーの実施報告です。
※三菱UFJ銀行様の導入事例はこちらをご確認ください。
【第一部】
株式会社HFMコンサルティング
「2016年割賦販売法改正。順守する義務範囲とは?」
代表 本田 伸孝 氏
0.はじめに~割賦販売法改正の目的
割賦販売法改正の目的の主な要因としては以下の4つと言われています。
・加盟店管理の強化
・加盟店におけるクレジットカード番号等のセキュリティ対策の義務付け
・Fintech企業のさらなる参入を見据えた環境整備
・特定商取引法の改正に対応するための措置
サービス提供方法の変化や不正利用の増加は、昨今の技術革新の影響が大きく係っていますが、今後、Fintechに代表される新たなサービス提供も見込まれる中、消費者に安全安心、便利に利用してもらえる社会インフラを整備するには、法規制とセキュリティ対応が重要なポイントでもあり、改めて、当該内容について考えてみます。
1.割賦販売法改正の要因...ビジネスモデルの変化
近年のカード事業は、従前の「オンアス取引」形態から、「オフアス取引」形態に変化しており、アクワイアラー会社と特にFintch関連企業の参入が多い「決済代行会社」におけるビジネスが増加傾向にあります。Eコマースに代表されるネット加盟店の扱いも含め、如何にしてクレジットカードビジネスを厳格化するかがポイントとなります。
2.改正による主要関係者への影響
今回の改正ポイントを主要な関係者をベースにまとめると以下のとおりとなります。
イシュアーに関しては従前の義務が踏襲されていますが、アクワイアラー、決済代行会社に関しては加盟店契約締結事業者として登録が義務付けられると同時に、加盟店の調査義務や情報管理義務と体制整備(委託先指導)が必要となります。加盟店にも不正防止や情報管理への対応が求められますが、書面の交付義務が緩和されメール等での提供も可能になります。
3.クレジットカード番号等取扱契約締結事業者の登録義務
加盟店との間でクレジットカード番号等の取扱いを認める契約を締結する事業者(クレジットカード番号等取扱契約締結事業者)に登録を義務付ける制度を設け、当該契約を締結した販売業者に対する調査、当該調査結果に基づく必要な措置を行うこと等を義務付けることになっています(改正割賦販売法35条の17の2から35条の17の14まで)。
対象となるのは、前出図のオンアス取引のイシュアーとオフアス取引のアクワイアラーと決済代行会社です。
4.セキュリティ対策の義務化
加盟店である販売業者等に対してはセキュリティ対策として、クレジットカード番号等の適切な管理義務を課す(=カード情報を盗らせない)こととし(改正割賦販売法35条の16)、併せて、クレジットカード番号等の不正な利用を防止するために必要な措置を講じる(=偽造カードを使わせない、ネットでのなりすましをさせない)ことを義務付けています(改正割賦販売法35条の17の15)。
最後に...(まとめ)
今回の法改正は、2020年のオリンピック、パラリンピックに向け、インバウンド需要を掘り起こすためにも安全安心なクレジットカード環境を作るべく、カード利用により商品やサービスを提供する店舗=加盟店の「経営の質」を高めることを目的としているものと思われます。カード会社における加盟店業務を考える上では、インフラ提供のみならず運営管理までを包括的に管理する必要があり、システム運用も含めた内部管理体制面の整備見直しも必要になるのではないでしょうか。
第1部監修・執筆 HFMコンサルティング 本田 伸孝
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【第二部】
株式会社ランドスケイプ
「割賦販売法を順守する内部管理体制構築方法とは?」
執行役員 長竹 克仁
第2部では、ランドスケイプ 執行役員長竹より『割賦販売法を順守する内部管理体制構築方法とは?』と題したテーマで講演いたしました。
1.法人情報の管理のメリット
割賦販売法改正に伴う加盟店管理の方法として法人番号を利用した管理が、クレジットカード取扱会社様の間で注目されています。
法人番号とは、国が登記している法人に対し発番している13桁のユニークなコードです。名寄せのコードとして金融機関を中心に運用が開始しています。
法人番号とは、以下の特徴があります。
※国税庁から提供・公表される法人情報は「法人3情報」
①法人番号(13桁)
②商号(会社名)
③所在地 ※本店、又は主たる事業所」
法人番号の活用法としては、「行政手続きの効率化」以外にも、 各企業の日々の業務効率化に利用できる、と国税庁や経済産業省は発表しています。特に、法人情報の名寄せを行う際は法人番号を「キー」にすることでデータ処理の負担が軽減されるなどの理由からです。
2.法人番号活用における運用上の課題は?
①データの揺れ
自社のデータベース内の情報に「表記揺れや略称名で登録された企業データ」「新社名、旧社名が混在した企業データ」「住所情報が無い同名企業データ」らがある場合、法人番号の付番が上手く行われない為名寄せし管理することは困難です。
②登記上の本社にのみ法人番号が付番されている(本社にしか付番されない)
法人番号は1法人あたり1つの固定コードです。つまり本社以外の営業所・工場にも同じ番号が発番されています。したがって例えば、拠点情報を含んだ管理を試みようとした際、営業所や工場まで網羅的に管理することは出来ません。 同様に、個別に番号が振られているのみなので、マーケティング活用を目的とした各企業の資本関係を把握することは、法人番号を用いた管理では限界があります。
3.ランドスケイプの法人番号活用支援とは?
上記の課題では、法人番号を使用した顧客管理が出来ないケースを紹介しました。
ランドスケイプでは独自に構築した日本最大のデータベース「LBC」を活用し、法人番号では把握できなかったデータの揺れや法人の事業所・工場の紐付けなどの課題を抱える金融機関様の法人番号活用支援を行っています。
「LBC」とは法人番号(法人マイナンバー)付番されたランドスケイプが独自構築している管理コードとなります。国内の拠点を99.7%に当たる820万拠点の網羅姓、グループごとに紐付け管理しているグルーピングが特徴で、バラバラに管理されているデータの一斉名寄せ、一元化が可能です。
日本最大の事業所情報「LBC」についてはこちらからご覧ください。