BLOG BLOG 本「ヤフーの1on1」から学ぶ。『1on1』の目的、やり方とは?

2018年02月28日

MBO(目標管理制度)の導入ならびに定着化を図る事業会社の取り組みを目にする機会も増えています。
また、MBOと同じように、もう一つ注目されているキーワードがあります。それが『1on1』です。
今回、本「ヤフーの1on1」(本間浩輔氏/ダイヤモンド社)を取りあげ、『1on1』とは何か?
『1on1』を導入する目的とは何か?について展開します。

ヤフーの1on1

1.『1on1』とは?

『1on1(ワン オン ワン)』とは、上司と部下が1対1で行なうミーティングの事を指します。
「1対1の面談ならば普段からやっているよ!」という読者の方も多い事でしょう。
 では、ここで、読者の皆さんへ質問です。
「部下との面談は、いつ、どのように実施していますか?」

現在、実施している面談は、以下のような部分が少なからずあるのではないでしょうか?

1)対話頻度
  忙しくて。。。普段コミュニケーションは取れているから。。。などの理由で、決まった面談の時間を取っていない。
2)会話支配率
  部下は聴いているだけ。部下よりも上司の自分の方が多くしゃべっている。
  部下の言葉の先取りや途中で遮っての上司の持論、経験を展開している。
3)対話内容
  上司として部下に指示した業務内容の進捗の確認が多い。上司側の状況把握が目的になっている。
  問題への対処法を部下より先に上司の自分が出している。


今回、紹介する『1on1』とは、上記の1)2)3)とはまったく異なる要素をもった対話の時間です。

『1on1』とは?
上司が部下と、"わざわざ定期的に"行う面談で、実施の目的は、部下の『成長支援(活躍の場をつくること)』です。
『1on1』では、対話が終わった時に部下が、以下のような気持ちになっていることが重要です。
 ・・・「上司は、部下の私のことを非常によく観察してくれているな」
 ・・・「上司との対話を通じて、今週の成長/出来たことを整理できてよかった」
 ・・・「上司との対話を通じて、今週の経験で学べたことは何なのか?を考える時間ができたのはよかった」 
 ・・・「上司との対話を通じて、来週のやってみたい方向性や今後の対処法も何となく見えてきた」

2.ヤフーの『1on1』とは?

ヤフーの「ビジョン」は以下のとおりです。
「人財開発企業」~才能と情熱を解き放つ~

ヤフーは、持続的成長を実現することを目的に、人材に積極的な投資を行っています。
ニュースを通じて具体的な取り組みをご覧になった方も多いかと思います。
この具体的な取り組みの一つが『1on1』です。
詳しい内容は、ぜひ本「ヤフーの1on1」(本間浩輔氏/ダイヤモンド社)をご覧いただければと思います。
ヤフーの経営層(宮坂学氏、川邊健太郎氏)も取り組んでいる事、そしてその取り組み方も紹介されています。

さて、ここでは、読者の私が「いいな。この視点!」と思った内容をいくつか抜粋でお伝えします。
【ヤフーの1on1とは?】
1)小さく始める。
 ヤフーの『1on1』は、いきなり全社横断でスタートしたわけではありません。
 本「ヤフーの1on1」の著者である本間浩輔氏とその周辺の一部の社員から始まった取り組みです。
 『1on1』の取り組みをはじめたチーム/組織では、少しずつ「変化」が見られました。
 そうです、部下/社員の自立した取り組みが増えるという変化です。
 この変化に関心をもったチーム/組織に段階的に広がっていくという形で進みました。

2)聴く姿勢。主役は部下。
 上司と部下が1対1で面談する目的は、部下の『成長支援(活躍の場をつくること)』と説明しました。
 具体的には、上司として部下が話しやすい雰囲気をつくってあげることが重要です。
 ・部下が経験を振り返りしやすい雰囲気。
 ・部下がうまく出来た事、出来なかった事を整理しやすい雰囲気。
 ・部下が解決策や対応策を自分で導き出せる手伝い。次のアクションを部下自らが考え、決定させる。

3)「今日のテーマ、何にする?」
 上司は、部下との『1on1』の前に準備をすることも大切です。
 その準備とは、部下の行動、結果、良かったこと/改善の方向性などを整理することです。
 その準備をしたうえで、『1on1』に臨みます。
 ただし、主語は部下ですから、『1on1』で話し合うテーマは部下に決定させることが理想です。
 そうです、上司のあなたが部下に伝える最初の言葉は、「今日のテーマ、何にする?」なのです。

3.『1on1』。実際にやってみると・・・

ヤフーの1on1をやってみると


私が「1on1」をやってみようと思ったきっかけは全く別の研修の時でした。
 研修のテキストに参考図書で紹介されていたのが、本「ヤフーの1on1」(本間浩輔氏/ダイヤモンド社)でした。
本「ヤフーの1on1」(本間浩輔氏/ダイヤモンド社)の読了後、さっそくチームに取り入れてやってみました。
ここでは、『1on1』を実際にやってみた私の体験を紹介します。
『1on1』をやっている方、これから始める方の参考になれば幸いです。

1)面談前の事前準備「情報収集」
 当社には、「日報」という取り組みがあります。
 「日報」は1日の業務が終了した時に、その日、何を行ったのか?その結果、何を学んだのか?について記述するものです。
 当社では、社員のみならず、役員も、この「日報」を登録しています。
 私が事前準備で活用したのがこの日報です。部下の日報から「トライチャレンジ」と「迷っているかも・・・」の2つを抜き出します。
 「トライチャレンジ」とは、部下が新しく取り組んでいる内容です。ここは、誉めて伸ばす領域です。
 「迷っているかも・・・」とは、部下が業務支援や精神支援を欲しているかもしれない内容です。
 部下に気持ちよく説明してもらい、一緒に解決を図ることが必要な領域です。

2)面談中「我慢する」
 「我慢する」とは、上司である私が部下の意見を遮る、私が中心に会話を進めることを控えるという意味です。
 『1on1』の主体は部下です。したがって、私の重要な役割は、部下が説明しやすい雰囲気を作ることです。
 実際にやってみると、この雰囲気づくりが本当に難しいのです。
 ・・・"つい"口を挟んでしまう。・・・結論を急いでしまう。・・・進め方を誘導してしまいそうになる。
 
3)面談後「記録する」
 『1on1』は、部下の活躍の場をつくることです。したがって、一過性の取り組みでは意味がありません。
 継続的に実行して始めて初めて効用を体感することができるというものです。
 今、私は『1on1』が終わったあと、3行程度のメモを記録として残しています。
 最近では、終了後、部下側からも記録を出して貰う場合もあります。
 これにより、話した事のポイントがズレていないか、誤解は無いか等が確認できます。
 また、これらの記録は、次の『1on1』で活用します。記録すなわち事実を部下と共有できる事で、会話の「一貫性を保持」できるというメリットがあります。単に話したから終わりではなく、どんな話をしたかを残し活用していく事も大切だと思い、続けています。

4.最後に

本書のサブタイトルにもある "部下を成長させるコミュニケーションの技法" これが、『1on1』の大きな目的であり、成果です。
そして、部下の成長の積み重ね こそが、組織としての成長に繋がっていくと私も信じています。

本書は、ヤフーの『1on1』について、マンガや対談、FAQの記載と非常に判りやすく、習得しやすい作りになっています。
少しでも興味を持たれた方は、是非、本書を手に取られる事をお薦めします。
私もランドスケイプで、この『1on1』の取り組みを今後も続けていきたいと考えています。部下も自身も成長していく為に。



ヤフージャパン
ダイヤモンド社「ヤフーの1on1」

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2017年11月22日プレスリリース
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