BLOG BLOG 本「マネタイズ戦略」から学ぶ。~マネタイズを強化するために必要な視点とは?~

2018年04月27日

皆さんは「マネタイズ」という言葉をご存知でしょうか。和訳すると「収益化」を意味します。

書籍「マネタイズ戦略」を手にした動機は、非常にシンプルです。
現在、当社が提供しているサービスからの「キャッシュ価値」を増やす視点がほしかったことです。
もっといえば、実務における視点の「漏れ」について気づきが欲しかったからです。

本著で重要としているのは、「顧客価値提案」と「マネタイズ」の融合。
この取り組みで、近年大きく成長を遂げた企業の事例が具体的に紹介されています。


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1.書籍「マネタイズ戦略」から学べることとは?

書籍「マネタイズ戦略」では、マネタイズの定義から始まり、マネタイズを上手く実践している企業の取り組みを解説しています。
たとえば、EV自動車でおなじみの「テスラ」などです。
マーケティング(商品企画、新規事業などを含む)部門の方にはぜひ手にしておきたい1冊と言えるでしょう。



2.「マネタイズ」とは?
書籍「マネタイズ戦略」では、マネタイズの定義を以下のとおり説明しています。

「利益づくり、キャッシュづくり。価値提案を顧客に納得してもらう方法論

マネタイズは、企業が主語となる言葉です。
ただし収益化だけに集中して、顧客をないがしろにするわけにはいきません。次にポイントを見てまいりましょう。



3.顧客価値とは?

利益づくり、キャッシュづくりは「結果」です。
その結果を作る原因は「顧客に価値提案を納得してもらう」ことです。
では、顧客はどのような状況であった場合に、御社の価値提案(商品またはサービス)を評価するのでしょうか?
これについても、書籍「マネタイズ戦略」では、丁寧に解説されています。


顧客価値:
顧客に解決したい用事があること。その用事が、顧客にとって重要な自分事であること。
さらに、商品またはサービスに支払う以上のメリットを享受できること。



4.「マネタイズ」を強化する視点とは?

書籍「マネタイズ戦略」では、マネタイズを強化する「視点」も展開されています。
おそらく、読者の皆さんは私と同じように「マネタイズを強化する方法」を模索しているかと存じます。

マネタイズを強化する視点:
顧客接点を強化すること。
①顧客と接点をつくる「頻度」を増やすこと。
②1回あたりの顧客価値の範囲、内容を見直すこと。

このような、私達の需要/課題についても網羅されていることは、非常に嬉しい実務書であると思えます。


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5.事例から学ぶ「マネタイズ」戦略とは?

書籍「マネタイズ戦略」では、全部で8つの事例が紹介されています。
ここでは、その中から2社の取り組みを紹介します。

事例①:デアゴスティーニ
1901年イタリアで創業。パートワーク(分冊百科)出版を世界に先駆け展開している企業です。
現在は、世界30カ国で事業を展開しています。
皆さんも、おそらく書店やテレビを通じてご覧になったことがある馴染み深い会社かと存じます。
※「パートワーク」とは、特化、細分化、習慣化という意味です。

1)顧客接点を細分化し、習慣化を目指す。
デアゴスティーニ社は、約2年にわたって「顧客接点」を作っています。
具体的には、顧客に対して、組み立てパーツを提供し続けています。
顧客は、その2年間、製品を購買し、組み立てをし続けることで初めて「完成品」を手にできるという流れです。

2)購買初期段階の顧客接点で「成功体験」を作る。
顧客が2年にわたって製品を購買し、組み立てをし続けること。
デアゴスティーニ社は、このシナリオを実現させるノウハウを長年にわたって蓄積し続けてきました。
書籍「マネタイズ戦略」では、このノウハウのひとつとして「購買初期段階の成功体験」と記述しています。

事例②:アドビシステムズ
デザインツールやドキュメント管理ソフトウェアで、世界的に有名な企業です。
メールなどで書類のやり取りを行う際のファイル形式「アクロバット(Acrobat・PDF)は、皆さんにも馴染み深いのではないでしょうか。

1)マネタイズ戦略を先行させ、その後に顧客価値提案を高める。
従来、パッケージ売り切り型のビジネスを行っていた同社は、クラウド提供サービスの開発を進め、
2013年に「全てのアプリケーションプログラムを、定期課金(サブスクリプション)方式へ」変更する決断をしました。

2)定期課金(サブスクリプション)化で変化した事
この戦略は、1~3の変化(ベネフィット)をもたらしました。
 1.スタート時の料金が安価になったことで、新たな層の顧客を獲得
 2.安価な海賊版への対抗
 3.収益の安定化・平準化
一方、4~5に配慮する必要性も高まりました。
 4.解約リスク(=顧客はいつでも解約/離脱が可能に)
 5.イノベーションのスピードアップ(短いサイクルで顧客要望に応えていく姿勢)

では、戦略実行後(2013年以降)の同社実績はどうなったでしょうか?
顧客数・売上高とも、堅調に伸び続けています。これは4~5への惜しみない努力の賜物と言えるでしょう。



6.まとめ

今回、マネタイズとは何か?を含め、下記のような視点を改めて考えるきっかけとなりました。
・顧客が解決したい用事は何か?
・コスト以上にメリットを提供できるとしたら、それはどのような内容でロジックなのか?
・現在の顧客接点は、どのようなシーンで生まれているのか?その頻度を増やすしたらどのように実現するのか?
・顧客接点における顧客側の成功体験。成功の定義とその実現はどのように行うのか?

書籍「マネタイズ戦略」では、計8社の事例が分かりやすく紹介されています。
マネタイズの観点から、「キャッシュ価値を見直す」「ビジネスのあり方を見直す」。
そのきっかけとする書籍として、是非一読されてみてはいかがでしょうか。



 『マネタイズ戦略――顧客価値提案にイノベーションを起こす新しい発想』(著:川上昌直)