2020年10月01日
本コラムでは、「2025年の崖」を越えるために、製造業でいま何が求められているのか、2つの取り組みについて考えていきます。
今回は、「データの基盤」についてお話しします。
(←前回コラムへ「製造業におけるDX推進 ~ 崖を越える2つの取り組み ① ~」)
1.システムだけでは不十分
前回は、「2025年の崖」を乗り越えるための取り組みの1つとして、レガシーシステムをはじめIT環境を見直し、デジタル化を進めるためにシステムの基盤を整えることが重要であるとお話ししました。
また、デジタル化により取得、集約されたデータを集計・分析することで、自社ビジネスの強みや弱みの発見、市場のトレンド把握、それらの組み合わせによる新たな製品やビジネスモデルの創造、これこそがDXの意義とも述べました。
しかし、それを実現するためにはレガシーシステムの刷新や新たなシステム基盤へ移行するだけでは不十分です。
2.崖越え ②「データの基盤」
設計、生産から販売まで、目的に応じたシステムの導入によってデジタル化を進めれば、その業務過程における情報をデータ化し、蓄積することができます。
ただし、各部署や業務内容によって導入されているシステムは異なり、それぞれのデータが連携されているとは限りません。データを集約し集計・分析するためには、ただデータを揃えるのではなく、粒度や精度まで意識し、連携させることが重要です。
日本企業では、人力でデータを整えていることが多く、そこには多大な時間と労力がかけられています。しかし、今後さらに複雑化、細分化されたシステムやツールの導入が進んでくると、データ加工のプロセスもより複雑化していき、人の手で作業するには限界がくると容易に想像できます。
DXに向けあらゆるデータを最大限に活用するためには、複数の業務システム間の連携と同時に、システム内のデータを連携させ、データを活用できる基盤が求められます。
3.DXに向けたデータ活用
DXは、単なるデジタル化や、システム導入による業務効率化ではではなく、そこから得られたデータを最大限に活用し、新たな価値を創造するための手段となります。
こうした取り組みとはあまり縁がないと思われてきた製造業においても現在、「IoT」「スマートファクトリー」「デジタルツイン」といったキーワードの下、データを活用した「デジタル経営」へとビジネスモデルを大きくシフトしつつあります。
「モノづくりからコトづくりへ」などと言われますが、従来のビジネスの形態に捉われず、自社の強みを最大限に活かし、新たな市場への進出や事業・ビジネスモデルの創出が更なる事業の発展には必要となります。
そのためにも、企業の資産として、データ活用の基盤づくりから意識して行っていくことが重要なのです。
次回、データ活用に必要なプロセスについてお話しします。
データ基盤の構築、統合・一元化についてはこちら
「製造業におけるDX推進」シリーズ
第1回「製造業におけるDX推進 ~「2025年の崖」を乗り越える ~」
第2回「製造業におけるDX推進 ~ 崖を越える2つの取り組み ① ~」
第3回「製造業におけるDX推進 ~ 崖を越える2つの取り組み ② ~」
第4回「製造業におけるDX推進 ~ データ活用に必要な4つの要素 ~」
第5回「製造業におけるDX推進 ~ データ活用への取り組み事例 ~」