BLOG BLOG 「90日で成果を出すDX入門」から学ぶデジタルトランスフォーメーション。成功させる秘訣とは?

2020年07月07日

DX。デジタルトランスフォーメーション。
社会情勢の変化もあり、トレンドなキーワードになっています。

本コラムでは「90日で成果を出すDX入門」須藤憲司著(日本経済新聞社)を参考にDXについて考えていきます。

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著者の須藤憲司氏は、Kaizen Platform Inc.の創業者兼社長です。
本著ではKaizen Platform Inc.で実施した多くのプロジェクトの知見が惜しみなく開示されています。
ご興味があればぜひ手に取ってみてください。

1.DXってなに?

皆様の会社では、DXについて、具体的に何か取り組んでいますか?
そもそもDXとはなんでしょうか? 須藤氏は著書の中でDXについて以下のように説明をしています。

『DXとは、デジタルを活用して、圧倒的にかつ優れた顧客体験を提供し、 事業を成長させること。』
(「90日で成果を出すDX入門」須藤憲司著(日本経済新聞社)6ページより。)

この説明でわかる通り、「DX」とは顧客体験と連結している取り組みである必要があります。
さらにその顧客体験が、自社の事業を成長させる、つまり「稼ぎ」に繋がる事が重要です。
顧客体験と関わらず、収益化に繋がらない業務プロセスの再構築や、単なるデジタル化はDXには該当しないという事です。
その為、『DXを成功させるためにはデジタルの知識だけがあれば良いというのは疑わしい』と須藤氏は述べています。

2.DX。顧客体験ってなに?

DXが顧客体験と関連していることはご理解いただけかと存じます。
では、この「顧客体験」とは具体的になにを指すのでしょうか?

まずはこの顧客体験という言葉を定義します。
顧客体験の範囲を正確に理解することで、DXで解決する目的、範囲も明確になります。

【全業界共通。顧客体験。「3つ」の範囲とは?】
「90日で成果を出すDX入門」では、顧客体験は全業界共通である説明しています。
以下の3つの顧客体験をデジタルを活用してどう改善するのが最重要です。
① アクイジション/契約前
② エンゲージメント/安定稼働
③ チャーン/契約廃棄防止

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【お客さまが喜ぶ&御社らしい顧客体験を考える。】
『自分たちが何屋なのか?を再定義し、提供できる顧客体験について深く考えましょう。』
(「90日で成果を出すDX入門」須藤憲司著(日本経済新聞社)50ページより。)

DXを実施する。これはDXが目的化してしまった表現です。
企業が考えるDXは、企業側の売る視点ではなく、顧客側の「買ってしまいたくなる」視点が必要です。

お客さまが喜ぶ、そして自社らしさのある顧客体験を考える前に、ぜひ皆様に「3つ」考慮していただきたい内容があります。
①皆様の会社は、お客さまに対して何を売っていますか?
②お客さまは何に困っていて、自社の製品/サービスを購買するのでしょうか?
③お客さまが、他社と比較して御社に決めた理由は何なのでしょうか?

上記の②と③、すなわち、お客さまが自社の製品/サービスを利用すると決めた理由・背景を整理することは非常に重要なプロセスです。

3.DX。プロジェクトを中断しないためのコツとは?

自社でDXプロジェクトが開始する予定がある、またはすでに開始をしている場合に、どのようにリスクを回避させてプロジェクトを推進することができるのか?

DXプロジェクトが中断してしまう理由
・関連する部門が多く、その社内調整に時間を要するから。
・外注先との要件定義ならびに実行を要するから。

DXプロジェクトは、一般的に営業、マーケティングそして製造部門という具合に多くの部門と連携しながら展開します。
そのため、それらの部門との調整がつかなかった結果、DXプロジェクトが中断されてしまうケースが多いのです。

今回参考にしている書籍「90日で成果を出すDX入門」の魅力的なことの1つがタイトルの「90日」です。
90日間で実行できる範囲を決めること、すなわち大風呂敷を広げないで取り組むことの大切さを説いています。
具体的には中断しないコツとして「PoCを優先する」と説明しています。

「PoC」とは、Proof of Conceptの略で、内容は「概念実証」です。
DXにおける概念実証とは、御社がDXで実現したいビジョン、顧客体験に近づくための「実験」と「検証」です。
「PoC」を小さく、早く回すことでOKまたはNG、NGであれば次どうする?という判断を積み重ねることができます。
これが、DXプロジェクトを中断しないための1つのコツです。

さらに、デジタルを通じて圧倒的にかつ優れた顧客体験をつくるには「PoC」を小さく、早く回すことが重要です。
小さく、早く回すために捨てる視点があります。それが、「できる/できない」(can)と「やるべき」(should)です。
一方で、「どうすれば、できそうか?」の問いを増やすことが有効です。

さらに、「これって2週間でできそうか?」とタイムを区切って工数を見通すことで早い「PoC」の運営が可能となります。

4.DX。成功させる視点とは?

DXを成功させる為には、まずは御社の事業構造の現状把握をする必要があります。
自社は、どんな顧客に対してどんな製品・サービスをどのように提供しているのか?
3つの顧客体験(アクイジション、エンゲージメント、チャーン)は、どのような状態なのか?

現状把握をした上で、中期的なゴールを設定します。
この時に90日をマイルストンとする事で、具体的な行動に落とし込みやすくなります。
顧客にとって圧倒的にかつ優れた体験で、さらに90日後に実現できそうな範囲、水準は何か?を考えます。

最後に中期的なゴールを達成するための課題とアクションプランを設定します。
何を解決したらマイルストンに近づくことができるのか?
そのために必要なアクションはなにか?
さらにそのアクションは、実行しやすいか? できそうか?

ポイントは、90日間でできそうな内容に絞ってPoCを展開することです。
内容を絞る事でDXへの一歩をスモールスタートさせる事が出来ます。

今回紹介した書籍、「90日で成果を出すDX入門」には実施にDXに取り組んだ企業の事例も数多く掲載されています。
ご興味がればぜひ手にとって見てください。