BLOG BLOG ヒット商品番付(日経とSMBC)

2010年12月17日

■2010年 ヒット商品番付
定期的に、この「ヒット商品番付」を発行しているのは、日経MJ(1971-)とSMBCコンサルティング(1990-)になります。まずこの両社の2010年の番付を見てみましょう。

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表組み中、赤字で記載しているのは、両社が同じ番付で評価している商品、青字は、ランクは違うけれども両社が共通で番付表に入れている商品です。(表現が違っていても内容が類似であれば共通としました)

上の表には、日経は36商品、SMBCは20の商品(うち該当なし3)がリストアップされていますが、両社が共通で上げているもの(青字+赤字)は、以下の13商品となっています。

スマートフォン、3D(3D映画)、猛暑特需、LED電球、ドラッカー(もしドラ)、トップナノックス(コンパクト液体洗剤)、東京スカイツリー、食べるラー油、本田圭佑(南アフリカサッカーW杯)、ゲゲゲ(ゲゲゲの女房)、電子タバコ(禁煙外来)、AKB48、お料理簡単グッズ(チンしてこんがり魚焼きバック)。

両社とも番付の基準や対象とする範囲(特定の商品/サービスのみでなく一定のカテゴリーの商品や人物・社会現象を含む)は、ほとんど同じのようですが、SMBCの20商品を基準に考えると、ざっと65%の重複率になります。

さて、今年の番付ですが、一番、意外感があったのは、日経の東横綱"羽田空港"ではないでしょうか。日経さんの言によれば、今年の両横綱は、"「スマートフォン」と「羽田空港」が並んだ。ともに人と人とをつなぎ世界への扉を開くツールだ"とのことです。この文章、プロはこう書くのか!と感心しましたが、ちょっと無理っくりな感じがありますね。日経MJさんのランキングしている商品群を見ていると、日々の記事で多く取り上げているものを延長で掲出されているものが多いようですが、"羽田空港"については、過去1年遡って検索してみても、日経MJの紙面でとくに大きく取り上げたことはなく、"(空港の)本格的な国際化の本当の効果は利便性を生かして、新規の航空需要をどれだけ開拓できるかにかかっている"というスタンスだったはずなので(2010/11/5記事:羽田国際化、出張・乗り継ぎ便利に、深夜便で終業後に出発、「地方から海外」簡単に)、とても意外でした。隠し球として取っておいたのでしょうか。私は、今年の横綱の片方は空位と予想していたので、タッチアウトを喰ってしまいました。

さて、こういうヒット番付に並ぶ商品をジャンル分けすると、どうやら、一般には以下のようなものになるようです。(順不同です)

・新技術/ハイテクによる商品
・価格政策(最近はもっぱら低価格。。。減税、補助金なども)
・健康(器具、食品、施設)
・女性(社会進出、個人消費・家族消費)
・エンターテイメント(芸能・文化・玩具・施設)
・ニュービジネス、新サービス
・イベント(国際イベント、地域振興イベント)
(経済状態が良かった頃は、"本物志向"や"マネーゲーム・金融商品"の切り口もあったのですが、見事になくなりました)

こういうグループ(部屋?)で上の番付をみてみると、ハイテク系やエンタメ系、イベント系、低価格系は、ちょっと小粒とはいえ、健在だったものの、今年で言うなら、健康系が弱かったように見えます。ニュービジネス系も、"クーポン共同購入サービス"くらいしか見あたりません。これから、いまや携帯も含め、ほぼ完全に普及したネットを生かしての商品開発などに期待したいところですし、このジャンルは、いまは社会インフラになってしまった過去の革新商品"宅配便サービス"のように、世の中に不便や不都合がある限り、際限なく商品が作れるところのはずです。

また、ヒット商品のヒットする理由にはなりにくいとはいえ、環境への対応や高齢化、労働人口の減少など、これからの日本が直面していくさまざまな課題解決への糸口になるような、商品やサービスがほとんど見られないこともちょっと気になるところです。

逆に、このランキングを見て、たいしたものだなと思ったのは、"もしドラ"や"これからの正義"という内容的には、しごくマジメなものが、多くの人に受け入れられ、考えられているということでしょうか。「もしドラ」は、200万部を突破したそうですが、そんなに勉強したい人が世の中に居たんだ!と驚きました。

また、私は知らなかったのですが、"ONE PIECE"や"借りぐらしのアリエッティ"など海外でも広く受け入れられている大型のエンターテイメント作品などの存在もこころ強いところです。 "ONE PIECE"は1997年から続く"海洋冒険・仲間達との友情"をテーマとするマンガ作品で、累計発行2億冊以上、最新巻は初版で340万冊、海外でも人気がありフランスでは年間600万冊販売しているのだそうです。マンガ系はあまり図書館に置いてないし、本屋さんでは立ち読みできないようになっているので、これだけの規模になっていても気が付かないものですね。

■今年は小粒なのか。。。
ここ数年、今年は小粒だ。小粒だ。といわれ続けているヒット商品番付ですが、さて本当にそうなのでしょうか。2000年以降を横綱のみ一覧にしてみました。

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日経MJとSMBCを比較して、一目瞭然なのは、SMBCに横綱該当なしが多いことでしょうか。11年分なので22横綱ですが、うち10横綱が空位になっています。日経さんは、2005年の西横綱のみが空位です。日経と言えば、企業の代弁者的な存在なので、ちょっと甘めにしてしまうのでしょうか。内容を見ると、価格訴求系の商品やデジタル系製品を横綱に置くかおかないかで、空位の個数が変わっているようです。

また、両社が一致でランクしているものというと、エコカー(ハイブリッドカー)、Wii&DS、電子マネー(パスモ)、韓流(「冬のソナタ」と韓流関連)という4つのみです。2007年については、両社の東西横綱が唯一合致している年となります。Wii&DSについては、最近、少し失速気味という話も聞こえているようですが、たいへんなインパクトがありましたし、電子マネーについても、社会インフラとして定着して、支払いを大いに便利にしてくれた。という点では、立派な横綱なのかもしれません。

■大横綱はどこに?
今年は、小粒なのか?という話。日経さんは、過去に4冊ほど「ヒット商品番付」に関する書籍を発行しているのですが、その中の1冊『ヒット商品番付大研究' 90』(1990年発行。これが最新刊 ※末尾に追記修正あり※)で、日本経済はヒット商品番付の始まった1971年を境に質的に変化し、その結果、この19年間、これぞ横綱と呼べるヒット商品はない。と概括しています。ここでいう大横綱というと50年代の洗濯機、冷蔵庫、白黒TV。60年代のカラーTV、クルマ、クーラーであったり、インスタントラーメンや、コカコーラ、ミニスカートなどをイメージしているようで、そういう製品カテゴリーに近いものと比べてもどうか。と思うのですが、1971年から1989年までの番付表を眺めても、現代に繋がっているモノというとパソコン(マイコン)やVTR、東京ディズニーランド、オートフォーカスカメラくらいのもので、思いの外、少ないものです。押しも押されぬ"大横綱"というのは、いまの日本には、実はどこにもいない"青い鳥"なのかもしれませんね。ただ、世界に目を向ければ、急激な発展を遂げている国や地域は多くあり、日本の技術や製品が強く求められているところはある訳で、そうするとこういう、国内だけを対象とする"番付表"を眺めていること自体が、間違いなのかもしれません。国内市場の小さい、スウェーデンやノルウェーや韓国のような国に世界的に活躍する大企業が多く産まれている昨今、番付表のソトも、きっちりと見ていく必要がありそうです。

■さて、2011年。。
2011年の番付入り確定というと、3月のパンダ(上野動物園)と12月完成の東京スカイツリーというところでしょうか。パンダは、神戸と和歌山にも居るようなので、いまさらという気もしますが、上野のパンダというとやはり騒ぎたくなるのでしょうね。スカイツリーは、最近、都内の意外な場所で異様な姿(見慣れてない)が、見られるようになってきて、存在感を増していますが、これから構造物の竣工と開業に向け、ただTVのデジタル化に合わせて大きな電波塔が出来ました!という話ではなく、東京全体や少なくとも墨田区を中心とする東京東部の発展に寄与するように、位置付けて欲しいものです。あの界隈は、戦災にせよ、地震にせよ、不幸な役回りをになってきたような場所で、東京に20年住んでいる人でも、相撲(国技館)とか、江戸の文化(江戸東京博物館や寺社・工芸系など)などに興味がなければ、一度も行ったことがなくても不思議でない場所ではないかと思います。巨大な建築物の完成だけで、人の流れが変わり、地域の位置づけが大きく変わるものではないでしょうが、これからの十年、数十年を見据えて、東京東部に新たな都市を作り上げる気概で取り組んでいただければと思うところです。って、東京タワーから東京の発展が始まった!っていう単純な歴史観からの短絡発想のような気がしますが、ああいうシンボルがあるとヒトは頑張れるものなのかもしれません。
                                                             <記:古沢>  
   

※2010/12/21追記※
日本経済新聞出版社さんより単行本『日経ヒット商品番付1971-2010』が発売されます。
(発売予定:2010年12月28日,A5判_176ページ)
・日本経済新聞出版社
http://www.nikkeibook.com/book_detail/31673/
・アマゾン 
http://www.amazon.co.jp/dp/4532316731

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