CEOブログ

09年06月08日

押し紙とポスティング

CEOブログ

今週号の「週刊新潮」に「新聞業界最大のタブー「押し紙」を斬る!」の連載第一回が掲載されている。

「J-CASTニュース」では、名指しされた朝日、読売、毎日が抗議文を新潮社に送ったという。
http://www.j-cast.com/2009/06/04042577.html

 この問題は宅配制度のある日本の特殊事情だが、朝刊と夕刊一日二回配送とか、「人民日報」とかソ連時代の「プラウダ」を超える発行部数を可能にしている。

 拡販団(景品で釣って長期契約を強要する人相の悪い訪問販売=これは販売店と関係なく新聞社の営業部管轄)と過剰商品の押し付け納品商法(押し紙)が、日本の新聞社の三大恥部だろう。 三つ目は記者クラブ制度。

 押し紙とは、ABC協会での公表部数と実際の有料購読者数との乖離をいう。販売店の顧客世帯数が6000軒なのに新聞が10.000部を半強制的に送られてきている場合は、4000部が押し紙で40%になる。

 1.新聞社はこの10.000部の全国の累計数を元に大手スポンサーに訴求する。
 2.さらに10.000部の卸価格(取材費・製作印刷代・紙代)を販売店から徴収する。
 3.しかし配達店は10.000部の原価を新聞社に支払い、顧客からは6000部の代金しかもらえない。
 (これでは一方的な搾取で、商売が成り立たないはずが・・)
 4.販売店は折込チラシを地元スポンサーなどから10.000部×単価を請求できる。4000部は配達したり折り込んだりの手間がいらない。
 5.それでも販売店に赤字が出る場合は販売奨励金のような補助金を支給する。

 この図式は「強者が弱者を殴って包帯を巻く」ような絵に見える。 大企業たるコンビニ本部が個人事業主レベルの加盟店に、過剰な注文をさせて、廃棄した食品からもチャージを取り立てる」というロスチャージ問題にも似て見える。

温暖化だ、環境だ、と言われる時代に、封もあけない紙を廃棄するのは良心の痛みがある。 食料問題とか飢餓の国があるなかで弁当や調理パンを廃棄する精神的苦痛にも似ている。 社員に限らずバイトでも派遣でも、前向きでない、納得できない作業は苦労も大きい。

 しかし大きく違う点がある。

    ここで新聞社の仕組みがさらに巧妙なのは、
1.廃棄ロス以上に大義名分がないので、それだけに明文化できない、と言うかしなくてすむ。
2.配達店は被害者であり、同時に小さな共犯でもあること。
3.補助金制度で従順でない配達店の店主を追い詰めることができる。(コンビニにも補助金のような最低保障というガス抜き装置はあるが本部が恣意的には使いにくい)

 さて「週刊新潮」の記事の元ネタは、新聞配達を廃業してポスティング業者に転業した元配達店主の実態調査から。滋賀クロスメディア株式会社
http://www.s-crossmedia.com/company.html
 おそらく正義の怒りに打ち震えて・・ではなくて、販促物のポスティングの競合が折込チラシというのもある。これに対抗してクライアントに訴求する実利がある。

 抗議した新聞社も追い詰められているだろう。 ちょうど過払い金問題で数年で天国から地獄に堕ちたサラ金とか事業ローンに近いリスクがある。過去の過剰広告代金をスポンサーが請求すると大きい。 個人とか中小企業でなく、大企業が一種の利益の繰り延べ配当な気分で訴訟が出る可能性がある。 赤信号の点滅するマンション大手なんか、特に2経新聞とか3経新聞は怖いだろう。

 さて、ポスティングと新聞折込に対して、さらに競合するのが日本郵政のタウンプラス
http://www.post.japanpost.jp/service/you_mail/town_plus.html
 と、 ヤマト・ダイアログ&メディア(YDM)のエリアダイアログ
http://www.yamato-dm.co.jp/products/area.html
 になる。

 どちらもプライバシー過敏な世帯向けとか、地理的な統計情報で地域を絞っての配布ができる。らしい

 

 ・・整理すると・・

 A1.新聞折込チラシ
 A2.販促物ポスティング

 B1.タウンプラス(JP)
 B2.エリアダイアログ(ヤマト・ダイアログ&メディア)

 C1.ゆうメール(JP)+佐川急便、日通
 C2.広告郵便(JP)
 C3.クロネコメール便

 D.異業種での混載便(牛乳、通販配達物に同梱、ライフライン企業の副産物)

 E.低料三種(厚生労働省+JP)

 ・・という分類ができる。あくまで「広告印刷物を世帯に配布する手段」として。

 実はこういう簡略な分類が出来るようになったのは最近のこと。2001年頃のITバブルには、物流だとか3PLとか「ネットに対するリアルで」という大声が聞かれて、全国のポスティング業者を束ねてメール便の協同組合方式とか、まだ物流業界の再編以前の戦国時代で、宅配便業者がそれぞれ競合していた。 

 しかし佐川急便も日通も野心が減り、今では全国的に標準的な「受領印なし広告物のポスト配布」できる組織は二つしかなくなった。

 銀行も車も百貨店もケータイも寡占化すすむと、買い手の不利だけでなく選択の面白みも減ってくる。

 

 

 

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