BLOG BLOG 組織が利益に向かって動く事業戦略の作り方とは? 書籍「KPIマネジメント」から学ぶ。

2018年12月26日

1.本「KPIマネジメント」が役立つ理由とは?
私は、インサイドセールス部門に所属しています。インサイドセールス部門の主な役割は、当社の営業部に商談を引き渡すことです。この商談を創るために、いくつかの業務を同時並行して行っています。
1)イベント/セミナーの企画運営
2)WEB/コンテンツの作成
3)マーケティングオートメーションの設計/運用
4)メールマガジンの作成
5)オフラインマーケティングの設計/運用(DMやテレマーケティング)

この1)から5)の実務をこなすなかで、私の中ではひとつの課題にぶつかりました。その課題とは、「良い結果につながる原因づくり。もっと体系的に効率的に見つける方法はないのだろうか?」という内容です。

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ところで、みなさんが所属している事業部門でも多くの報告レポートが作成されているのではないでしょうか? そして、そのレポートには、圧倒的なボリュームの計測指標/結果が記述されているのではないでしょうか?

本日取り上げる書籍、『人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント』は、良い結果につながる計測指標を絞り込む視点、実務が学べます。ぜひ、事業戦略につながる主要な計測指標とはなにか?が気になる方は手にとってご覧ください。

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2.「KPI」と「KPIマネジメント」の定義とは?
KPIマネジメント』では、以下のように定義しています。

「KPI」
事業活動の目標達成に向けた主要な活動の進捗状態を測る指標。
「KPIマネジメント」
KPIの設定、測定、そして改善に向けた必要な取り組み。

これらの内容は、そのほかのKPI関連の書籍と同じ内容です。とくに、新規性はありません。しかし、私は、以下の内容に共感を覚えました。
失敗するKPIマネジメント
「どんな行動をしたらどんな結果になるのか?」
この想像力が欠如した状態で決めたKPIでの運用は失敗する可能性が高くなります。KPIは人や組織に与える影響力が強いため、1点と1点の関係のみで物事を考えるのではなく、KPIという1点から影響を及ぼす複数の"点"、及びそこから波及効果として繋がる"線"で考える必要があります。

3.「KPIマネジメント」。KPI設定のコツとは?
KPIマネジメントを理解し、実行しやすくるための実務的エッセンスも豊富です。
この3章では、書籍からKPI設定のコツ「SMART」を引用します。
①Specific・・・具体的
②Measurable・・・計測できる
③Achievable・・・実現可能な
④Relevant・・・目標に関連している
⑤Timebound・・・期日がある

私は、①④がポイントであると考えました。なぜなら、実際の活動をする現場では、具体的であれば理解しやすいこと、そして、目標に直結することで執着する動機づけになるからです。

4.「KPIマネジメント」。最初に行うこととは?
「KPIマネジメント」は、事業戦略の目標達成につながるKPIの作成手順についても記述されています。この4章では、KPIマネジメントを作成するうえで、最初に行うことを説明します。それは、事業戦略の目標達成に関連するステークホルダーの現在の心理的状態を具体的にすることです。
書籍(114ぺージ)に記載のハウステンボスの事例が理解しやすいので引用します。

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ハウステンボスはテーマパークの為、当然大目的は「来場者数の増加」です。そこでハウステンボスに"来ない"人の心理状態を具体的にします。

【ハウステンボスの"来ない"人の心理的状態】
「ハウステンボスの名前は知っている。また、園内が美しいことも知っている。しかし、実際に行ってみたいというきっかけがつかみづらい。」

KPIマネジメントで最初に行うこと。それは、消費者/購買者が「購買をしない」心理的要因、本音を具体的にあぶりだすことなのです。そしてこの心理状態を変えるためにどのような状態にするか、目指すべき状態を確定させます。ハウステンボスでは以下の状態を理想の状態として設定しました。

「多くの「ここにしかないイベントが開催できている状態」

この見込み客の心理を変化させる為の状態を目指す為の具体的アクションこそがKPIです。ハウステンボスの場合は「オンリーワン・ナンバーワンのイベント数」がKPIとなります。具体的で(Specific)、計測でき(Measurable),実現可能で(Achievable)、目標に関連していて(Relevant)、期日がある(Timebound)、KPIです。

こうしてKPIが設定できれば、後はどのようにオンリーワン・ナンバーワンのイベントを増やしていくか、という具体的アクションにドリルダウンを行う事が出来ます。テーマパーク運営という複雑で多くの要因がある事業の中で、「自分達は何に注力するのか」を明確にした好事例です。

私は、冒頭に説明したとおりインサイドセールス部門に所属しています。今回、読了した「KPIマネジメント」を参考に、ステークホルダーの心理状態の洗い出しからスタートしました。そして、インサイドセールス部門の目標達成につながりやすい「第1次KPIマネジメント」を作成しました。
日々複雑化する事業/業務の中で何に取り組むべきか、そして何に取り組まないべきかを明確にする為に、KPIマネジメントは明確な道標として機能します。利益に向かって動く事業戦略を策定したいという方には非常に参考になる書籍です。ご興味があればぜひ手に取ってみてください。