BLOG BLOG 先進事例にみるマーケティングと営業のデジタル活用について ~インサイドセールスとMAの活用で効果を最大化する仕組みとは?~

2019年09月24日

8月29日(木)にインサイドセールスにおけるMAの活用に関してセミナーを開催しました。
その内容をまとめた実施報告記事です。

概要
▼第1部 日本オラクル株式会社
 クラウドアプリケーション事業統括部 担当シニアマネージャー 横山 富 氏
▼第2部 株式会社ランドスケイプ
 営業本部 DXグループ 執行役員 湯浅 将史
▼第3部 日本オラクル株式会社
 ビジネス開発部 マネージャー 橋本 明子 氏
 マーケティング本部 ビジネスデベロップメントグループ 齋藤 広晃 氏

第1部
BtoBデジタル・エクスペリエンス、【勘と経験】から【デジタル武装】へ
~ITで有望顧客を発見~

1.デジタル化による行動の変化とMAの必要性

インターネットの発展に伴いユーザーの情報収集もWEBサイト中心になりつつあります。
BtoBにおいてもその波は押し寄せておりサービスを検討する担当者は営業担当と接触する前に約6割の情報収集を終えている状況であると言われています。
問い合わせ時に見積もりを提示される事例もユーザーの情報収集がWEBサイト中心となった結果だと言えるでしょう。
BtoBにおいてもユーザーのWEBの行動から興味・関心の情報をキャッチし、見込み客が自社サービス・商材についての興味の把握が急務になりつつあります。
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見込み客の行動情報を把握・管理するためにMA(マーケティング・オートメーション)が登場しました。
WEB上での行動情報・メールへの反応・資料DL等の一括管理が可能です。
上記の行動状況に合わせたアプローチを可能にするため効果的なアプローチ結果が得られます。

2.BtoBマーケティングの課題

●イベントの費用対効果計測
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BtoB企業のマーケティング担当において新規リード創出は最大のミッションです。
新しく売れる見込みの有るリードの創出の為、日々セミナーや展示会を実施しイベントごと効果を精緻に分析する必要があります。
しかし、リスト抽出・メール作成・WEB作成等の業務は様々なシステムに情報が跨っておりイベントの効果を検証するまでに多大な時間がかかります。
また、精度の問題がありイベントの成果を正確に出すことは困難です。

●営業とマーケティングの溝
リード課題.jpg

大量に取得したリードも営業に引き渡し商談・受注に繋げなければマーケティング活動は意味をなしません。
営業が求めるリードは今すぐ商談化するリードです。
供給されたリードがそれ以外の場合、フォローの優先順位は後になり、最悪放置される事があります。
このように両部署の捉えるリードに対する認識の差は部署間に亀裂を及ぼしマーケティングの効果を半減させる要因となります。
供給するリードの温度感を捉えることは営業部門と連携が必須事項であるBtoBの世界において重要と指標となります。

3.日本オラクル社のMA「Oracle Eloqua」

日本オラクル社が提供するMA「Oracle Eloqua」では、効果測定機能により確度の高いリードを捻出できます。その結果、マーケティング部門の生産性を向上させ、営業力の強化にも繋がります。

●Eloquaのイベント管理
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Eloquaはイベントの来場社管理・登録フォームの設計・メール作成・レポートティングの機能があります。
そのためリード管理から効果検証まで一貫したイベント管理が可能です。
煩雑なイベント管理もEloquaにより効率化されます。

●Eloquaのリードスコアリング
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リードスコアリングの機能によりリードの温度感を測ることが可能です。
一般的なスコアリングはWEBの行動情報での採点ですが、Eloquaのスコアリングは行動情報と別軸に「顧客になり得るかどうか」と掛け合わせたスコアを採点します。
したがって、営業には確度の高いリードが届けられる為効率的なフォローが実現します。

セミナーでは、導入事例として、不動産会社、日本電気社などのマーケティング活動についてご紹介しました。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.oracle.com/jp/applications/customer-experience/marketing/products/marketing-automation/

第2部
ランドスケイプのインサイドセールスのMA活用事例

第2部はランドスケイプより「Eloqua」を活用したインサイドセールス事例をご紹介しました。

1.データとの連携がインサイドセールス成功の鍵

インサイドセールスを運用していくにあたり、営業部門とインサイドセールス部門の、データを正しく連携させておくことが重要です。なぜなら、①ターゲット企業を見極めてアプローチすること、②営業担当とのバッティングを防止する必要があるためです。マーケティング部門が取得した見込み顧客を選別し、ホットリードを営業へパスした後、その案件が受注に繋がったのかを把握することが、インサイドセールスの効果測定を意味します。

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(出典:ランドスケイプ)

しかし、営業部門、インサイドセールス部門と、それぞれ使用するツールが異なり、MA・SFA内のデータの精度・粒度がシステムごとに異なります。WEBから入ってくる情報は、ユーザーが入力する情報なので、誤入力や、住所の欠落などが起きやすく、データの管理は簡単ではありません。また、SFAのデータは営業担当が直接入力するので、社名の表記揺れなどからデータの重複が発生し、データをそのまま貯めていくだけでは、データ連携はされず、インサイドセールス活動は立ち行かなくなります。

2.データ統合に対するアプローチ

解決策として、外部のデータベースを辞書代わりに利用し、現在保有しているMA・SFA内のデータベースを、重複データの名寄せや、業種などの属性情報を補完しながら管理していきます。これによりデータが一元化され、管理・運用しやすくすることができます。これにより、自社のターゲット企業が網羅できるようになり、ホワイトスペースをリストとして取り込むことも可能となります。データを正しく有効に活用するには、それぞれをシステム間の連携ではなく、データレベルで連携させていくことが重要となります。

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(出典:ランドスケイプ)

3.LBC/uSonarによるデータの一元化(CDI)

ランドスケイプは日本国内の事業所(820万拠点)を網羅したデータベース「LBC」を構築しています。日本に現存する事業所(本社、支社、工場等)単位で、11桁のユニークな企業コードを採番し管理しています。この企業コードを基準として、各種ツールの顧客データベースに共通のコードを付与することで、データベースの高精度な名寄せ・メンテナンスを行い、顧客データの一元化を実現することができます。

「LBC」は日々変化する企業情報を常に調査し、最新の情報に更新することで、情報鮮度を維持しています。これを各種ツールと連携しながら提供していくのが、「LBC」を搭載したクラウドツール「uSonar」です。

「uSonar」は多くのBtoB企業がデータベースマーケティングに活用できるよう、必要な機能を実装したクラウド型のデータ統合ツールです。営業担当の直接入力や、WEBからの問合せ登録など、様々な精度・粒度で発生するデータを、「uSonar」を通すことによって、SFAなどデータを活用する各システムに、データを一元化できるような状態で連携させることができます。これによってデータの一元化に関わる課題を自動的に解決することが可能です。

MAをご利用中の企業様でよく聞くお話に、「何社・何リードあるのか把握するのが難しい」というお声があります。MA内のデータも「uSonar」でデータを正しく管理することにより、的確で効率的な計測、ナーチャリングが可能となります。

法人マスタデータ「LBC」:https://usonar.co.jp/service/lbc/

4.ランドスケイプのインサイドセールス

インサイドセールス発足当初は、営業のフォロー漏れのキャッチアップが目的でした。アポ数を目標に設定し、コール施策中心に運営しておりましたが、展示会で集めた名刺情報など、関係性が構築されていないリストに対し、とりあえずコールをしていました。すると、本人との対話率は10%以下、また、数重視のため、見込の薄い商談が続いていました。そこで、MAである「Eloqua」を導入し、コラム記事など情報提供中心のコンテンツマーケティングに切り替え、顧客との関係構築を優先しています。現在では本人対話率35%超、月間商談100件超をコンスタントに供給しており、営業へパスした案件の質と量を管理、維持しています。

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(出典:ランドスケイプ)

第3部
成長する営業組織のデジタル活用事例

第3部ではオラクル社が実施するEloquaを活用したインサイドセールスの実例をお話いただきました。

1.日本オラクル社のインサイドセールスの概要とミッション

日本オラクル社は日本でインサイドセールスが流行る以前からインサイドセールス部隊を構築し運用しています。
新規リードの創出における受注への貢献・若手営業社員の育成を目的としています。

日本オラクル社のインサイドセールスはいわゆる商談機会創出型で、主な役割は以下の2つとなります。

①MQLフォロー(見込み案件のフォロー)
イベント参加・WEBサイト閲覧・資料DL・デモ動画閲覧した見込み顧客のリード情報を元に電話やメール、SNS等を駆使してアプローチをします。
主にはBANT情報と呼ばれる商談関連情報のヒアリングを行い商談化できる状態、もしくは顧客の関心やポテンシャルの有無を見極めて営業へリードを引き継ぎます。

②Outbound(新規顧客開拓)
予めターゲティングした企業を調査し、発掘したキーマンに対して様々なチャネルを駆使してアプローチを行います。
顧客関係を構築しながらニーズの喚起や掘り下げを行い、見込客及び商談の機会を創出して営業へ引き継ぎをします。担当営業と予めアポイントの基準を設定しますが、営業の案件状況やスケジュールは都度変わるため、営業との連携が不可欠となります。

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2.インサイドセールスの課題

日本オラクル社のようにインサイドセールスを案件創出の部隊として機能させる為には体制・運用面を確立する必要があります。

インサイドセールスはマーケティングからくるリードや、営業リストからプロスペクトを選定、見込み顧客の獲得、課題を聴取しながら有益な情報をタイミングよく提供することで、顧客の「興味・関心」を徐々に高め案件の創出を行います。
これまでマーケティングや営業担当が受け持っていた業務の一部をインサイドセールスが担い、マーケティングと営業の橋渡しとして双方向のコミュニケーションを取る役割をしています。
外勤営業だけで対応できない企業に対してもカバレッジを広めて、認知度向上や顧客満足度向上の役割を担います。
しかし、営業部との認識の食い違いや連携がきちんとできないと運用が上手く行かないため、マーケティング部と営業との定期的な連携が必須となります。

日本オラクルのインサイドセールスは新卒や中途若手社員が外勤営業にプロモーションされるための育成の場でもあります。
「人材採用・人材育成・モチベーション管理・定量目標」も重要となります。
1on1ミーティング、各種トレーニング参加、営業部門との業務外交流、ゲーム感覚を取り入れたアクティビティ活動などを定期的に行いモチベーションの維持と士気の向上に取り組んでいます。

3.日本オラクル社のインサイドセールスにおけるEloqua活用

日本オラクルでは、お客様向けに販売しているEloquaを自社ツールとしても活用しています。

マーケティング部門の一斉メール配信ツールとしての役割のみならず、インサイドセールス、フィールドセールス一人一人がすべての営業プロセスで活用している点が特徴的です。

本セミナーでは、自社の活用事例としてすべての顧客接点をEloquaに統合することのメリットや具体的な活用方法について説明されていました。

参加者アンケートからも『役に立った』という声が多く、MAの導入検討や、導入後の活用に課題を感じていらっしゃるお客様には、具体的なノウハウを持ち帰っていただくセッションとなりました。

 

日本オラクル(株):https://www.oracle.com/jp/index.html
(株)ランドスケイプ:https://usonar.co.jp/
法人マスタデータ「LBC」:https://usonar.co.jp/service/lbc/
顧客データ統合ソリューション「uSonar」:https://usonar.co.jp/service/usonar/