BLOG BLOG 『競争しない競争戦略』著者 山田英夫教授特別講演

2017年03月08日

2017年3月2日(木)に開催した第10回ランチョンフェアにて、基調講演として早稲田大学ビジネススクール 山田英夫教授にお話いただきました。
山田教授は経営戦略、ビジネスモデルを専門に研究をされており、多くの著作を発表されています。
今回の講演では山田教授の著作『競争しない競争戦略』について、解説をいただきました。

競争しない競争戦略 山田英夫

競争しない競争戦略 ~消耗戦からの脱却~

1.収益率を悪化させる競争のデメリットとは?

日本企業の売上高営業利益率が下がっている原因の1つとして、過当競争が挙げられます。市場の成長や多様なニーズへの対応など、競争にはメリットもありますが、デメリットも存在します。競争のデメリットとして、以下の3つがあげられます。

①顧客志向から競争志向に
 ビジネスは顧客への価値の提供が目的です。しかし競争が激しくなると、顧客ではなく競争相手の事ばかりに目が行き、顧客志向から離れていってしまいます。

②必要以上の価格の下落
 同機能の商品を複数の企業が提供している場合、価格競争になりがちです。その為、たとえ競争に勝ち残ったとしても、利益率が低くなってします。

③組織の疲弊
 常に競争を強いられる組織は、メンバーの疲弊につながります。

 また、有名な競争戦略の理論をよく読むと、実は「競争しないこと」を推奨している事がわかります。例えば「ポーターの競争戦略」は競争しない状況を作り出す事で、高い収益率を上げる戦略です。さらに「ブルーオーシャン戦略」も、競争のない市場を切り開き、利益を出す戦略です。このように、競争しないことこそが、高収益率を持続し、消耗戦から脱却する為の戦略なのです。

2.競争しない競争戦略、2つの戦略とは?

競争しない競争戦略は、大きく2つの戦略に分かれます。本記事では概要のみ紹介します。

競争しない競争戦略 2つの戦略

(1)ニッチ戦略
「この商品はニッチ狙いだから、売上は小さい」という言い訳をよく聞きますが、「ニッチ=小さい売上」という事ではありません。また、ニッチと差別化はよく混同して使われますが、両者は異なります。差別化は、「リーダー企業と戦う戦略」であり、ニッチは「リーダー企業と戦わない戦略」です。リーダー企業と市場の棲み分けを行う事が、ニッチ戦略です。

ニッチ戦略は、「質的ニッチ」と「量的ニッチ」の2つの軸で分類できます。講演では具体的な事例を通して説明をいただきました。

(2)協調戦略
協調戦略は、他社と競争をせず、「共生」する戦略です。具体的には、相手企業のバリューチェーンに入り込み、相手企業の機能の代替や追加を行う事で競争を避ける戦略です。

競争しない競争戦略 山田英夫 バリューチェーン
企業が提供する機能、例えばメーカーであれば、「研究」から「アフターサービス」までの連鎖があります。その一部を代替したり、新たな機能を追加することで、相手企業のバリューチェーンの中に入り込めれば、他社と戦わず、共生することができます。その際に相手企業に、「潰すより利用した方が有利だ」と思わせる事が重要になります。これが協調戦略の基本です。

書籍「競争しない競争戦略」では、多くの事例と共に、競争しない競争戦略の詳細が解説されています。ご興味のある方は、ぜひ書店で手にとってみてください。

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第二部のランドスケイプの講演では、山田教授の理論とランドスケイプの戦略との関係について説明しました。
第二部の内容については下記ページをご覧ください。

【第二部】山田教授の理論を参考に戦略変更した顧客データ統合ツール「uSonar」

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