BLOG BLOG 長寿企業(老舗企業)

2010年09月10日

日本は他国に比べ、古くから続く会社が多い。という話はご存じと思います。

日本最古(世界最古)の企業は、寺社建築の金剛組(創業578年)であり、他国にはほとんど例のない創業1000年を越える企業も日本に7社ほどあるとされています。また、ほとんどすべての自然人よりも長寿になる創業100年以上の企業は想定で5万~10万社ほどあるのだそうです。

この100年以上企業数など、想定レンジがあまりに広いのですが、このあたり本当の実態はわからない。というのが正解のようです。1000年以上の企業についても、後記する後藤俊夫氏は19社あるとされています。が、今回、企業名の記載が見つからず検証できませんでした。

というように、いきなり、よく解らないのが正解。などと書くと、その後の文章が続かなくなるのですが、以下、長寿企業について少しまとめてみました、(今回、いろいろと資料を見てみたのですが、記述がばらばらで困りました・・・・。結果、まとめきれておらず、いつもにまして、長文になってしまいました。"クドイよ"という声は聞こえているのですが・・・)

■長寿企業の定義(会社の寿命)
会社の寿命30年説というものがあります。これは「日経ビジネス」が1983年に企業データの分析をもとに発表したもので、会社として活力があるのは最初の10年、優良企業ともてはやされてもその寿命は30年くらいしかない。という説で当時、大きな話題となりました。6年ほど前、日本経済新聞社がこれの再検証を行い、この説はいまも有効と結論づけたようです。アメリカでフォーチュン500という優良企業とされる企業を研究した結果でも平均寿命予測は40~50年程度となったようです。

また、日本企業の平均年(経過年数)はH18(2006)総務省事業所統計からは、23.9年。S56(1981)では17.4年という推定値があります。

このことからか、あるいは自然人の寿命との比較からか、一般には創業100年を長寿企業と見るケースが多いようで、日本の各地にある老舗企業の会(東都のれん会など)の多くもこのあたりが基準になっています。ただし、日本の場合、100年企業というと信用調査会社で把握している企業だけでも2万社を越えており、実際はその数倍はあると推定されていて、これは特異な企業体とは言えないのでは? という状態ですので、長寿企業の特色等の研究を行う場合は200年で区切る場合もあります。100年であれば、親子3代ほど続く商家や製造業者であれば達成可能で、これが全国5万~10万社説にまでなってしまう理由ですが、創業200年となると、全国で推定3100社ほどにしぼられます。200年というと、東京で、伝統ある街の代表格"銀座"の老舗企業でさえ、達成は難しくなるのです。(いまの銀座は1870年くらいに出来た比較的あたらしい街です)

■日本の長寿企業ランキング
いくつかのランキングを示します。細目について興味のある方は "長寿企業ランキング"とでも検索してください。ただ、書籍含め、いろいろ見たつもりですが、これが確実な正解だろう。と思えるものには、ぶつかりませんでした。

<創業1000年以上企業ランク>
1.金剛組(建築・創業578年・旧社は2006年に破産し現在は高松建設グループとして存続)
2.慶雲館(旅館・705年)
3.古まん(旅館・717年?)
4.法師(旅館・718年)・・ギネスブック認定の世界最古ホテル
5.田中伊雅仏具店(仏具・885年頃)
6.中村社寺(建築・970年)
7.一和(餅・1000年)

<有名企業で創業のふるいもの>
1.虎屋(和菓子・1500年代前半)
2.小西酒造(清酒・1550年)
3.西川産業(寝具・1566年)
4.養命酒製造(薬用酒・1602年)
5.竹中工務店(建築・1610年)

<上場企業ランキング>
1.松井建設(株)(建設・1586年)・・発祥は社寺建築のようです。
2.住友金属鉱山(株)(非鉄・1590年)
3.養命酒製造(株)(薬用酒・1602年)
4.丸栄(株)(百貨店・1615年)
2005年まで(株)駿河屋という1461年創業の和菓子メーカーが上場していましたが、架空増資を行い上場廃止になっています。デパートの松阪屋(1611年創業)も、資本変更により2006年上場廃止。

※創業年の表記は、WEBがある企業はその表示年を使いました。

※日本の場合、創業年の古い企業は、建築・旅館・仏具・菓子・酒造等が多いようです。16世紀頃、味噌、醤油、清酒等の製造法が定着しており、この頃以降はこれらの製造を業とする企業が多く存続しています。


■日本に長寿企業が多い理由

後藤俊夫氏という研究者の2008年の発表によると200年以上の企業が日本に3113社あるのに対し、ドイツ1563社、フランス331社、英国315社、オランダ292社、オーストリア255社、イタリア163社となっています。歴史がある中国ならいくらでも古い企業体がありそうですが、文化的な背景(血縁と金以外、信じない。という辛辣な表現をネットのどこかで見ました。嫌中発言かもしれません)や、途中、国有化された経緯もあってか64社のみ。歴史のあるインドも"血"を最優先する身分制度のため規模の拡大や困難な局面での組織の維持が難しいようでランク外となっています。やはり日本には長寿企業が多いようです。

一般に、長寿を達成する企業の特色をまとめると、A)環境変化への対応力、B)独自性と結束力、C)現場型の運営、D)保守的な資本運営など。があげられるようですが、これでは、日本が突出している理由になりません。このあたりを探って、いくつかの文献の内容をまとめてみました。

(1)"家制度"・・・家業継承=血縁。というイメージがありますが、親族に適切な継承者がいない場合、血ではなく家が優先され養子等による事業継承が積極的に行われたこと。

(2)市場経済の継続的発展・・・長い平和の続いた江戸時代を含め、おおむね安定した経済成長が実現され、また第二次大戦後の短期間をのぞき他国からの占領統治等をうけていないこと。(都道府県別にみて、際だって老舗企業率の低いのは沖縄県です)

(3)マネジメントシステム・・・マネジメントと書くと、とても今風ですが、いわゆる顧客管理は、富山の薬売りの時代から完成の域にありました。複式簿記は江戸時代から。社員教育・競争原理という意味では、丁稚~番頭に至る人事制度。また近江商人の"三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)"などの企業倫理。いまでいうリスクマネジメントも家訓や準備金制度(埋蔵金!)などで実現されており、現代の最新マネジメントと本旨において何等変わらないものが、古くから定着していました。

(4)商業や職人が尊重されたこと・・何代も商人を続けることや手作業をすることを卑しいとする文化を持つ国があるようです。韓国では200年超の企業が一社もないとされていますが、商業を世代継承することを卑しいこととする文化があるからだ。という説明があります。日本の長寿企業は製造業が多いことも一つの特色だそうですが、これも職人技を継承することを尊ぶ意識の現れのようです。


■まとめ(まとまらないです)
この長寿企業というテーマ。書籍も多く出ていますし、ブログ等でも比較的多く書かれているものなので、簡単に書ける。と思って書き始めたのですが、それは大きな間違いでした。資料は多いものの、食い違いが大きく、また、活字資料の宿命か、ネットで検索するとどうやら誤りと思われる記述が多く見つかったりと、時間がかかったわりに、内容のないものになってしまいました。ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございます。

ここで、まとめてみて、企業の存続年という点で、日本企業が世界屈指の存在となっている理由は、過去より平和が続き経済成長の基盤が確保されてきたことと、社会の意識を含む、マネジメントシステムが古くから精緻で健全であったことなのだろうかと思っています。後者のマネジメントとなると、最新のものが最良のもの。とつい考え、不易でなく流行を追うような意識が勝ちがちな昨今ですが、これが、長いスパンでの成功を阻害してしまっているのかもしれません。

                                                             (記:古沢)

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写真上)"虎屋"本社。このビルは、青山通り(国道246号)を挟んで"赤坂御用地"のとい面に位置します。もともとは京都のお店ですが、天皇家と一緒に遷都した唯一の京菓子店だそう。
下左)上場企業中、最古の松井建設本社。ごく普通のビルに見えました。 
下右)松井建設が耐震工事をしているビル現場の看板。

PS.ところで些事ですが、弊社の設立(創業)は、1990年9月10日で、本日付けで満20年となりました。ここまでお取引、お引き立てをいただいた多くの企業様、ご担当者さま、関係者さま、本当にありがとうございます。長寿企業になるのは、まだまだまだまだ先ですが、これからも皆様のお役に立てるよう努力して参ります。

*以下、参考にした主な資料名を書いておきます。私の記述がアイマイでけしからん。とお思いの方は文献をご覧ください。

(書籍)
日本経済新聞社編『200年企業』(2010,日本経済新聞社/文庫)
久保田章市『百年企業、生き残るヒント』(2010,角川書店/新書)
後藤俊夫『三代、100年潰れない会社のルール』(2009,プレジデント社)
帝国データバンク史料館『百年続く企業の条件』(2009,朝日新聞出版/新書)
野村進『千年、働いてきました』(2006,角川書店/新書)
A.D.グース『企業生命力(リビングカンパニー)』(2002,日経BP社)
横澤利昌『老舗企業の研究』(2000,生産性出版)

(ネット)
「会社の寿命30年」説を検証 優良企業ランキングとの関係は?(2004/9/22)
http://www.nikkei.co.jp/needs/analysis/04/a040922.html

沖縄長寿企業の意識調査

http://yamauchi-cpa.net/pdf/chousa/okinawa_choujyu0.pdf

http://yamauchi-cpa.net/pdf/chousa/okinawa_choujyu1-14.pdf



●長寿企業。創業160年。
『ルイ・ヴィトンの法則』を知る。

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